上徳寺 世継地蔵尊大祭 2019年

上徳寺 世継地蔵尊大祭
子授けのご利益で知られる上徳寺では、2月8日に世継地蔵尊功徳日大祭が行われました。

上徳寺 世継地蔵尊上徳寺は富小路五条下るにあるお寺です。普段は静かな境内ですが、子授けの世継地蔵があることで「京のよつぎさん」として知られています。江戸時代の前期、子どもを亡くし、悲しみに暮れていた八幡の清水という人がいました。清水は、再び子どもを授かれるようにと念じて本堂にこもると、阿弥陀様にすがり続けます。そして7日目の夜、お地蔵様が夢に現れ「私の姿を石に刻んで祈りなさい」と告げていきました。早速、お告げの通りに石のお地蔵様を作り、お堂を建て、日々祈願をしていると、ついに立派な世継ぎを授かったのです。

上徳寺 世継地蔵尊お地蔵さまはその約70年後にも、僧侶の夜のお勤めの際に現れ「世に子なきものには子を授け、子孫相続し、その家の血縁絶えやらず、家運長久ならしめ、幸福薄きものには福を与うべし」とお告げをしたと伝わります。こうした由緒から現在も、子授けの厚い信仰を集め、お地蔵様を安置する地蔵堂には各地から参拝者が来られます。

上徳寺 世継地蔵尊大祭子授けは、少子化・晩婚化の進んだ現代では切実な問題となりつつあり、夫婦の代わりに参拝されるその母親や、真剣な表情で数取り棒を手に持ち、お百度でお堂を回っておられる方を見かけることもあります。お堂の周りには多数の絵馬やよだれかけがかかり、その願いの強さをうかがい知ることができます。

上徳寺 世継地蔵尊大祭立春を過ぎて最初に来る功徳日の2月8日は、上徳寺の毎月の功徳日の中でも最もご利益が大きい日とされ、この日に参拝をすればなんと一億日分のご利益を授かれます。計算するのは無粋なことを承知で計算してみると、一億日は「約27万4千年」になりますので、子々孫々に至るまでご利益を授かれそうな功徳の大きさです。この日には、世継地蔵尊大祭が行われて、境内では護摩焚きも実施されます。

上徳寺 世継地蔵尊大祭護摩供養は京都各地の行事でよく見られるように、行者(山伏)が願文を読み上げ、四方と中央、鬼門を矢で清め、竹筒で火を入れていきます。護摩焚きの初めは白い煙がもくもくと上がるのが恒例です。この日は寒い一日で、風が舞って煙は境内一円に広がっていきました。やがて炎が出だすと、祈祷をされた護摩木が入れられていきます。その数はおよそ1万本にもなるそうです。縁起ものの「御幣」は火焚きの炎にかざされて、参拝者に授与されています。

上徳寺 世継地蔵尊大祭境内は多くの方で賑わっていて、名物なのが「多幸焼」と書かれた「たこ焼き」。あくまで接待ですので、さい銭箱への志納で頂くことができます。また、粕汁の接待もあって、こちらは席も設けられて大いに賑わっていました。普段は静かなお寺ですので、そのギャップがまたお祭りらしいですね。この日には、全国各地から人々が集まっているそうです。

上徳寺 世継地蔵尊大祭上徳寺は、1603年に、阿茶の局(上徳院)という家康の側室が開基となって創建されたお寺で、山号は塩竈(えんそう)山です。ご住職の名字も塩竈さんで、辺りには塩竈町、本塩竈町の地名も残ります。この変わった名は、付近にあった嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとのとおる)の邸宅である河原院に由来します。源融は、その邸内の池に毎日30石もの海水を運ばせて、陸奥(宮城県)の塩竈の景色をまね、塩屋の煙を立たせて趣を楽しんだといわれています。

上徳寺 世継地蔵尊大祭上徳寺の本堂は、永観堂の祖師堂を移築したもので、本尊の阿弥陀如来像は、上徳寺の建立に当たって滋賀の鞭崎八幡宮から家康が迎えた仏様です。境内には世継地蔵の他にも珍しい「はがため(歯固め)地蔵」もあります。歯の健康を願うことは長寿にもつながるとして、信仰集めています。世継地蔵には普段から参拝できますので、機会がありましたら訪れてみて下さい。

「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ

・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。

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