4月25日に、百万遍知恩寺で3年に1度の二十五菩薩お練り供養が行われました。
知恩寺の二十五菩薩お練り供養は3年に1回だけ行われる貴重な行事です。京都では、10月に泉涌寺の即成院で行われる同様の行事が知られていますが、阿弥陀如来が臨終に際し二十五菩薩を従えて来迎する場面を、菩薩の面をつけた人々が実際にお練りする(歩く)ことで再現します。知恩寺では、浄土宗を開いた法然上人の出身地・岡山にある誕生寺から招かれた方々によって行われているそうです。
百万遍知恩寺は浄土宗の京都四ヵ本山の一つで、元々は慈覚大師によって開かれた「賀茂の河原屋」と呼ばれる神宮寺が前身。法然上人はその地を念仏道場とし、上人亡き後は、弟子の源智が法然上人の御影堂を造営して、法然上人の恩を知る「知恩寺」と名付けたのが始まりです。やがて、元弘元(1331)年に都で疫病が流行った際、各社寺に疫病退散の修法が命じられましたが、ほとんど効果がありませんでした。そんな中、知恩寺の空圓上人・善阿が、7日間にわたり百万遍の念仏を唱えたところ、見事に疫病が収まったのです。感激した時の天皇・後醍醐は、知恩寺に「百万遍」の称号を授け、弘法大師が書いた「南無阿弥陀仏」の名号と、さらにお堂いっぱいの大念数も授けました。弘法大師の名号は、文字の先端が剣のように尖っているところから「利剣の名号」と呼ばれ、現在も寺宝として大切に受け継がれています。
さて、二十五菩薩お練り供養は、阿弥陀様の来迎を表しますので、出発は阿弥陀堂から。そしてあの世とこの世の境目という御影堂へと続く道を進んで、御影堂に上がり、一周して堂内へと入っていきます。お練りをする「菩薩」は、煌びやかな装束に仏の面をつけていますが、これは縁日で売られているお面とは異なって、前が見えないものです。
そのため、一人一人に介添えがついて段差などを伝えながら、ゆっくりゆっくりと進んで行きます。菩薩様がズラリと並んで一歩ずつ静々と進んで行く様は、まさに非日常の光景という感を強めてくれます。また、お練りの先導は雅楽の演奏である一方、境内では鐘が撞かれ、神仏習合の名残も感じられます。境内全体に厳かな雰囲気が満ちていました。菩薩の後には僧侶が続き、「南無阿弥陀仏」と書かれて蓮の花をかたどった五色の紙が撒かれ(散華)、信徒の方が拾っていかれました。また、百萬遍保育園の子供たちもお練りの様子を見に来ていて、手を合わせているのが印象的でした。今年はご案内をさせて頂きました。3年前ぶりに開催の企画です。ご参加ありがとうございました。
「京ごよみ手帳2019」訂正のお知らせ
・P39の三十三間堂「楊枝のお加持と大的大会」の日程が1月14日となっていますが、正しくは「1月13日」です。
・P225の「京都御所」のデータで、2番の休みは「月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始・臨時休あり」です。
ご迷惑をおかけいたします。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
第15回・第14回京都検定1級(合格率2.2%)に2年連続の最高得点で合格。気象予報士として10年以上。京都検定マイスター。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳」監修。特技はお箏の演奏。