京都の遅咲き桜の穴場が泉涌寺。楊貴妃観音堂の前には、楊貴妃桜が見事に咲き誇っています。
皇室の菩提寺として御寺(みてら)の名で知られる泉涌寺(せんにゅうじ)。実は遅咲き桜の穴場で、門前や楊貴妃観音堂前で、まだ桜を楽しむことができます。楊貴妃観音は、美人祈願の信仰で人気があり、僧の湛海によって1228年に中国・宋より将来された仏像です(年号は異説あり)。その美しさから、中国・唐代の皇帝玄宗が楊貴妃の冥福を祈って造らせたとの伝承を生み、楊貴妃観音と呼ばれています。長らく100年に1度公開される秘仏でしたが、昭和31年より常に拝めるようになりました。X線調査で、胎内には五輪塔に納められた仏舎利が存在することが判明していますが、当時の中国で納められたものなのか、謎を残している仏像でもあります。
お堂の前には、13日現在「楊貴妃桜」が美しく咲いています。文字通り、絶世の美女といわれた楊貴妃をイメージして名付けられた遅咲きの八重桜で、京都では平野神社など、他所でも同じ名前の桜が植わっています。奈良の興福寺では、楊貴妃を愛した皇帝と同じ名の「玄宗」という僧が好んで眺めた桜だったので、楊貴妃桜と名付けられたとも言います。そちらからの株分けかはわかりませんが、泉涌寺の楊貴妃桜は、個々の花は一般的な八重桜より小ぶりで、白の中に薄いピンクが混じった色彩は、女性らしさを感じさせてくれます。泉涌寺では、門前の山桜もまだ綺麗で、この週末まで見ごろが続くと思いますので、足を延ばしてみるのもおすすめです。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。