本格的に暑くなる前の京都へ


春の賑わいも落ちつき、今の京都はじっくりと京都らしい光景を楽しめる時期でもあります。いくつかお勧めをご紹介します。

気が付けば夏至も過ぎ、日差しは冬へと向かっています。夏至の日はあくまで「昼の時間が最も長い日」であり、「日の出が最も早い日」や「日の入りが最も遅い日」とは限りません。今年の京都の場合は、夏至だった6月21日の「日の入り」が19時14分。しかし翌日の22日には19時15分となり、夏至の日よりも遅くなっています。面白いのは、まだ分単位では「日の入りが最も遅い日」が続いていること。なんと日の入り時刻は7月5日までずっと19時15分のままなのです。しかし昼の長さは確実に短くなっていて、日の出の時刻は順調に遅くなっています。一方の気温のピークはまだこれから。二十四節気では次は「小暑」、さらには「大暑」へと「暑」の文字が続いて行きます。

京都は春の賑わいが落ちつき、静かに楽しめる季節に入ってきています。ちょっと入れば「貸切」で空間を楽しめる機会も多くあることでしょう。暑さが本格化する前、曇って夏の日差しもまだ降り注がない今の時期も京都はお勧めです。建仁寺の潮音庭は先日、写真のような光景でした。じっくりと座って眺めるにはもってこいでしょう。

高台寺の円徳院でも運がよければお庭を静かにじっくりと眺められます。東山のねねの道に面して人通りが多い場所ですが、ほんの少し入れば静かな京都が待っています。円徳院の奥のお庭(北庭)は、伏見城の化粧御殿の前庭を移したもので、天下統一を果たした豊臣秀吉やその妻・ねねが眺めていたお庭がほぼそのまま残されています。庭には大きな石が並び石橋が架かるなど、桃山時代の豪華さを感じることもできます。現在は枯山水のようですが元は池泉のお庭で、そもそも城に作られたお庭であったため他のお寺のお庭とは由緒も異なります。また、お茶室も脇にあって、本格的なお茶室で抹茶を頂くことが出来ます。京都の文化に触れられる貴重な場所といえるでしょう。

西に目を向ければ竹林の若竹も育ち、竹の寺として知られる地蔵院の門前は、透き通るような柔らかい緑に包まれていました。鈴虫寺ではいつものように長蛇の列が出来ていましたが、よければ足を延ばして頂きたい場所。さらに奥に進むと楓の隠れ名所の浄住寺もあります。本格的に暑くなる前の京都も静かに楽しめてお勧めです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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