建仁寺の霊源院が6月14日まで特別公開されています。アジサイに似た甘茶の花が咲き、涼しげな雰囲気です。
霊源院は建仁寺の南東にある塔頭寺院で、普段は非公開です。今年の冬に70年間にわたって京都国立博物館に寄託されていた中厳円月(ちゅうがんえんげつ)という高僧の木像が寺に戻り、「京の冬の旅」で特別公開されていました。その時の目玉は、中厳円月像の体内仏として発見された毘沙門天像。左手に掲げた水晶玉に、伝教大師・最澄が持ち帰ったという仏舎利が納められているという小像で、仏師・湛慶の作とされます。今回の特別公開でも毘沙門天像を拝むことができ、美しい姿を目にできます。また中厳円月の像もまるで生きているかのような見事な彫刻で、脇にある木村英輝さんの絵や、金澤翔子さんの書も必見です。
今回目にできる甘茶の庭は甘露庭(かんろてい)と呼ばれています。霊源院は玄関から部屋全体が見渡せるほどの広さしかありませんが、部屋の奥のお庭と玄関付近にガクアジサイの変種である甘茶が咲いています。甘茶の花だといわれないとアジサイだと思ってしまうような花です。青い花は涼やかで、蒸し暑くなる今の時期にはぴったりです。
甘茶は仏教には関わりのある植物です。仏教の祖であるお釈迦様が生まれた時に甘露の雨が降り注いだという伝説があり、4月の灌仏会では天地を指さす釈迦の誕生仏に甘茶をかけるという経験をされたことのある方も多いことでしょう。霊源院では甘茶の木を植えてから3年目だそうで、今年ようやく見てもらえるくらいに成長をしたとのことです。先日は3日間だけ夜間拝観が行われ、蛍が放されました。あまり広くない場所に大勢の方が訪れていたので、正直風情があるとは言えませんが、気軽に蛍が見られるのはありがたい機会でした。
霊源院はご住職さんも人気があります。ご住職さんが接待をしてくださる茶席も席数限定で催されています。不在の場合もありますが、話もお上手だと評判ですので(私は未体験です)、お時間とご予算のある方は参加をしてみてください。拝観料は500円。公開は6月14日まで。茶席は別途1000円で予約は不要で受付でお申し込みください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。