平安神宮の大鳥居の前、琵琶湖疏水に沿って東西に延びるのが仁王門通で、この通り名の由来となった仁王門を持つのが日蓮宗の本山の一つ・頂妙寺です。川端通から仁王門通を東に入り、ほどなく北側に入口が現れます。あるいは二条通からも境内には入ることができます。頂妙寺はかなり広い境内を持っていますが、各地を転々としてきた寺がこの地に移ってきたのは江戸時代の1673年。直前に起きた内裏の火事をきっかけに現在の京都御苑内から移転してきたといわれています。
その後、1708年の宝永の大火をきっかけとして、御所一体の他の街々も頂妙寺の周りに移転をして「二条川東」という地域が築かれました。通りを挟んで街ごと移動してきた新開地です。南北に伸びる「新丸太町通」が頂妙寺の南にあるなど「新」と名前の付く通りが何本もあるのがその象徴。頂妙寺は、それら新しく開かれた土地の先駆として、この地に広い敷地を持てたのでしょう。
境内には立派なイチョウが何本もそびえています。特に本堂の前に二本並ぶイチョウの姿は印象的です。イチョウは水分を多く含む木で、西本願寺をはじめ各地の社寺に火災除けとして植えられていますが、頂妙寺にイチョウがあるのも、火災をきっかけとして移転をしてきたためかもしれません。目を引くイチョウの木は仁王門の左手側にもそびえています。
頂妙寺は例年、他の場所よりもイチョウの色づきが早い傾向にありますが、今年も既に見頃に入り、それどころか散り始めている木もあります。13日からは冬型が強まり風の吹く日もあるので、今年は早々に散ってしまうかもしれません。イチョウはタイミングにもよりますが、散る時は一晩で散ってしまうこともあります。見られる間に黄色のダイナミックな色彩も楽しんでおきたいですね。
散策・講座のお知らせ
※散策・講座等のご依頼はこちらから!お気軽にご連絡ください。
- 11月20日(木)【受付中!】
特別公開の「紅葉谷庭園」と、趣ある丸窓が飾る「鷹峯」の寺へ - 11月21日(金)【受付中!】
抹茶と紅葉を楽しむ妙心寺大法院と、桜の紅葉も交じる仁和寺の錦秋を歩く - 11月23日(日)【受付中!】
吉村おすすめの紅葉!南禅寺・天授庵と京の伊勢・日向大神宮 - 11月23日(日)【講座を受付中!】
ガイドが語る京都の魅力!定番社寺からこっそり教える穴場まで その1 清水・八坂 - 11月29日(土)【ことぶらさんで受付中!】
早起きは三文の得!紅葉彩る天龍寺の早朝拝観と絶景の嵐山を気持ちよく散策しませんか?
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。