京都を代表する憩いの場所が鴨川沿い。両岸は散策路やサイクリングロードとして整備されており、多くの方が思い思いの時間を過ごされています。秋が深まり、鴨川にはススキがたなびくようになりました。穂が垂れる様子は秋の象徴ともされ、稲穂の代わりとして中秋の名月に供えられたりもします。
ススキの開花は気象台でも観測されており、今年の京都は9月29日の開花。平年より30日、昨年よりも49日も遅い開花となりました。実際、今年はススキが遅い印象でしたので、体感とも合っています。気象台では様々な動植物を観測していますが、この開花の傾向は興味深いものがあります。ソメイヨシノは遺伝子が同じクローンだからか、開花時期は2週間ほど幅があるものの、植物の中では毎年一定の時期に咲く種類。アジサイも大よそ開花時期が一定している植物となります。
一方、ハギ(ヤマハギ)やススキは、年ごとの開花時期のばらつきが大きい植物の代表です。京都では、ススキの開花記録の最早は7月21日、最も遅い最晩記録は10月3日となっています。このようにススキは2か月以上も開花時期が前後をする植物であるため、年によって季節感を教えてくれる時期が大きく異なるのです。今年は例年よりは遅い見ごろとなりましたが、鴨川のススキは秋らしい風にたなびいていますので、散策の際には季節を感じてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。