まだまだ暑い今年の京都。26日も30℃に迫る温度となり、27日は32℃の予想最高気温とこの時期としては相当の高温となっています。今週半ばからは再び秋雨模様となって気温が下がりますが、蒸し暑い状態は当分の間続きそうです。今年は本格的な秋の訪れが遅くなっています。そのため、萩や彼岸花といった9月を彩る花々も遅めになっています。
京都では、まだ各地で彼岸花(マンジュシャゲ)が咲いています。本日散策で歩いた白川沿いにも綺麗に咲いていました。彼岸花は田畑や墓地などでも見かけますが、京都市街地では街路樹の足元や鴨川沿いなどでも目にすることができます。彼岸花は「葉見ず花見ず」ともいわれ、花だけ咲いて葉が見えません。一方花が終わると葉が伸びてきて、来年に向けて光合成をおこないます。そのため葉と花はお互いに会うことができないので「葉は花を思い、花は葉を思う」という意味で「相思華」とも呼ばれます。また、彼岸花は種子をつけることがなく、球根で増えるクローンであるため、遺伝子も同じ。そのため一斉に咲くという性質があります。これはソメイヨシノとも似ている部分です。
また、根の球根には毒があるため地中のモグラが寄り付かないとされ、墓地や田んぼのあぜによく植えられているといいます。一方で球根の毒は水にさらすと取り除くことができるため、豊富なでんぷんを備えた非常食にもなります。そうした経緯で実用的な植物として各地で増やされていったとされています。墓地に多いこともあり、マイナスのイメージもある花ですが、人知れず役に立っている興味深い花だと思います。今しばらく見ごろが続きそうですので、その姿を愛でてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。