激流に咲く 疏水の桜


京都の桜、各地で満開です。今回は、先日少しご紹介した、冷泉通沿いで激流に咲く疏水の桜をご紹介します。

今日もあちこちへと行ってきましたが、ソメイヨシノはまさに今が満開という場所が多数。今日見た中では、特に平野神社や西陣のお寺が、満開中の満開。これぞ桜!という光景でした。平野神社では桜花祭も行われ、華やかな行列が満開の平野神社から出発しました。それら様子は明日以降のブログで書きたいと思います。桜の見ごろの時期は一気にやってきますので、書きたい場所は山のようにあるのですが、とても全ては無理ですね(笑)Facebookの京都旅屋のページでは、こちらのブログではご紹介できない日々の写真も公開していますので、よければご覧ください。

今回ご紹介するのは、琵琶湖疏水の激流に咲く桜。琵琶湖疏水が激流?、と疑問を持つ方もいるかと思いますが、実は岡崎にダムがあり、その下流ではかなりの激流となっています。そしてそこに枝を伸ばす桜が、流れの速さと相まって非常に美しく見えます。初めて見て以来、私はここの桜の虜になりました。市街地にいながら、川の上流部の渓流で桜を眺めているかのような錯覚に陥ります。昔、京都検定1級合格者の集いの時に、桜のおススメを聞かれた私は、この激流の桜を答えました(笑)写真だけではなかなかお伝えるすのが難しいので、是非最後の動画をご覧になって下さい。

激流を作り出しているのは夷川ダムです。大正時代の1914年に作られた、高さ3mのダムで、レンガ造りも美しい佇まい。100年ほどを経た現在でも、現役で発電を行っています。ダムの上流はダム湖になりますが、実はこのダムはもともと船留り(ふなだまり)だった場所に、後からダムを設置しています。夷川ダムの名は、南の通り(冷泉通)を鴨川を延長して延ばすと、夷川通に至るところから来ているのでしょう。その夷川ダムの船留りは、疏水の竣工式が行われたところ。明治23年(1890年)4月、天皇・皇后両陛下も東京からお戻りになって、前夜祭では、祇園祭の山鉾がこの南に並び、疏水には数十隻の飾り船。大文字山にも火がともされ、花火大会もあったそうです。まさに盆と正月が一緒に来たような盛り上がり。今はそのことはほとんど知られることはなく、静かな散策路として桜が迎えてくれます。

インクラインから夷川ダムの船留りへの疏水には、近年十石船が走っています。今年からは夜間運行も行われるようになりました。料金は1名様1000円。京都の街中で船に乗れるというのもまた、新しい京都ですね。走り始めた年に一度乗ったことがありますが、水辺から見上げる満開の桜も大変に美しく、歩道を歩く方からは手も振って頂けます。面白いのは橋を通過する時。実は船の屋根は可動式で、隙間の狭い橋では屋根を下げて通過します。

船は桜の時期の土日は大変な人気を集め、数時間待ちもあります。ただ当日分のチケットは先に買うことができるので、まず最初にチケットを買って、周辺でその時間まで散策をして戻ってくるというコースがよいでしょう。また、気象警報・注意報が出ると運行中止になることがあります。特に、この付近の疏水には急流の「白川」が流れ込んでおり、ゲリラ豪雨での急激な増水の危険を考えて「雷注意報」でも運行中止になるようです。春には雷はつきものですので、雨の日には結構な頻度で運行中止になることが想定されます。こういう時こそ、民間気象会社の出番。すでにどこかの気象会社と契約されているのかもしれませんね。いつか、京都旅屋でも予報業務の許可を得て、京都のイベントの催行可否判断情報を安く提供できればと思います。

現在は満開の桜。実は散り始めると、夷川ダムの船留りでは花弁が浮かぶ、とても美しい光景を見ることができます。流された花弁が集まって出来るのは「花筏(はないかだ)」。実際にその様子を見ると、なんと上手く表現した言葉かと感じます。花筏は水が溜まる場所でないと見られませんので、池や堰がある場所がお勧め。京都府立植物園でも、池で美しい花筏が見られます。夷川ダムの花筏は、ゆっくりと流れ、まさに筏が流れて行くかのよう。激流に咲く桜と、ゆったりと流れる花筏。表情の違う二つの桜を眺めることが出来るのが、冷泉通沿いの疏水の桜です。是非一度は見て頂きたい、おすすめの場所です。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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