智積院 障壁画・名勝庭園の無料公開


智積院(ちしゃくいん)へ行ってきました。この日は「青葉まつり」で庭園と長谷川等伯らの障壁画も無料公開されました。

智積院と青葉まつり

智積院は真言宗智山派の総本山。関東では成田山新勝寺や川崎大師、名古屋にある大須観音も真言宗智山派です。現在の智積院は、秀吉が子の鶴松を弔うために建立した祥雲禅寺の跡に建てられました。大河ドラマ「江」では先週生まれたばかりですが・・・もうじき亡くなってしまうのです。
青葉まつりは、真言宗の宗祖である弘法大師・空海と智積院中興の祖である興教大師・覚鑁(かくばん)の誕生を祝う行事です。弘法大師の誕生日は宝亀5年(774年)6月15日、興教大師の誕生日は嘉保2年(1095年)6月17日です。6月16日はその間で、ちょうど青葉の時期に当たるところから「青葉まつり」と名付けられたそうです。

長谷川等伯の楓図

お祭り自体は、宗教的な行事やお堂を巡っての朱印集めなどが行われました。しかし、やはり嬉しいのは名勝庭園や障壁画の無料公開。長谷川等伯の繊細な画風は私もファンの一人です。大胆に見えて、足元に小さな草花を繊細に描いているところが狩野派との大きな違いだと学びました。
等伯の作品は京都で様々なものを見てきましたが、やはり楓図は傑作。祥雲禅寺時代の障壁画が残ったものです。隣りにある桜図は息子の久蔵25歳の作。私も25歳の時にこの絵を初めて見て、同い年でこのような絵が描けるものかと、とても感動したことを覚えています。しかし、久蔵はあまり有名ではありません。それは26歳でこの世を去ってしまい作品が残っていないからです。
その悲しみを乗り越えて等伯が55歳で描き上げたのが、桜図と対になる楓図。初めて見た時、私は思わず涙がこぼれました。構図や秋草花の散り具合、その全てに儚さや悲しみがあるように思え、まるで意思を持って動いているかのようなその楓に、私は父の亡き息子に対する思いを見た気がします。
名勝庭園は中国の廬山を模したお庭で、座って眺める観賞式の庭園です。詳しい話は省略しますがこちらも必見です。そしてお庭を眺める書院には、色彩鮮やかに復元された等伯らの桜図・楓図があります。私は初めての時にはこの復元を先に見たので、ズガーン!と心に響いたのかもしれません。その後に収蔵庫で見た本物にも改めてぐっときました。
智積院では他にも、田渕俊夫画伯や後藤順一画伯の襖絵も見ることができます。実は堂本印象の絵も遠くから見られることもあります。新しいものと古いもの、両方の芸術に触れられる場所です。境内も広いので、探検してみると意外なものも見つかるかもしれません。

京都の無料公開

平安神宮や三十三間堂など、年に数日ほど日時を決めて無料公開される場所もあります。狙って行ってみてもよいでしょう。なお、智積院では12月12日に行われる冬報恩講の法事の後にも、庭園と障壁画が無料公開されるそうです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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