八坂神社 初能奉納 2013年


1月3日の午前中に八坂神社では初能奉納が行われました。

八坂神社では、金剛流と観世流とによる初能の奉納が隔年交代で行われていて、2013年は金剛流の順番でした。演目は「翁」。五穀豊穣、国家安泰、天下泰平を祈願する儀式的な内容で、特にストーリー性もない演目のため、能の解説サイトでは「能にして能にあらず」と書かれていました。この演目の起源は能の初期であるために格式が高く、新年や祝賀祭などで好んで演じられています。能は普段目に触れる機会が少ないものですが、事前に演目の予備知識を持ってご覧になるだけでも、ずいぶんと面白さが変わってきますよ。

「翁」の演目では、まず露払いの意味合いで千歳(せんざい)がさっそうと舞った後に、翁面をつけた能役者が舞い、続いて狂言役者が演じる三番叟(さんばそう)が登場して、勢いよく掛け声を発しながら舞台を駆け回り、また鈴を振りながら躍動的な舞を舞って行きます。翁は、千歳が舞っている最中に舞台上で面を付けるのも特徴的でした。

私もまだ能を間近で見た経験は数えるほどしかありませんが、人の声や演奏が作りだす、いわゆる幽玄(非常に趣が深い)の世界には毎回強くひきこまれるものがあります。一朝一夕の練習では作り出せない、この世界観が能の醍醐味なのでしょう。こうした素晴らしき伝統芸能が、もっと多くの人の目に触れてほしいと思います。八坂神社の初能は正月3日の朝9時からで、すでに1時間前には席が埋まりだし、直前にはもう能舞台の周りは満員です。実は、午後から「かるた始め」もあるため、アマチュアカメラマンは朝7時台から最前列の席を確保されています。私も、7時台に行ってギリギリ最前列で見ることができました。

「翁」が奉納された後は、観世流による「羽衣」が奉納されました。こちらは鼓などの囃子は無く、仕舞(しまい:シテ舞)の形態で行われました。元日に松尾大社で見たものと同じ形式のようです。紋付き袴の姿なのも特徴でしょうか。演目は毎年変わるとのことでした。以上で初能奉納は終了。10時15分ころには終わります。

なお、その後、尺八の奉納も行われました。「春の海」や「千鳥の曲」など親しみやすい曲で、お箏も少しありました。やはり新春には和楽器があいますね。お正月らしい能や邦楽に触れられる貴重な機会です。この日の午後には、同じ能舞台で「かるた始め」も行われました。そちらの様子はまた次回にご紹介します。能の様子は5分程の動画にまとめていますので、是非、ご覧になってみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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