八坂神社 かるた始め


1月3日に八坂神社かるた始めが行われ、華やかな衣装のかるた姫が、優美かつ息詰まる熱戦が奉納されました。

1月3日の八坂神社では、午前中に初能奉納が行われました。そして13時から、かるた始めが奉納されます。場所は同じ能舞台で、混雑は初能奉納以上です。少なくとも1時間前には行かないと、立ち見でも難しいかもしれません。私は、朝の初能奉納から引き続いて最前列を確保し、なかなかよい資料を集めることができました。最前列は、初能奉納から動かない方も多く、前で見るためには朝7時台から八坂神社で寒さに耐えることが必要です。場所にこだわらなければ1時間半ほど前に来られれば大丈夫でしょう。

かるたの起源は貝合わせにあるといわれ、今でも京都の尼門跡寺院などでは、遊び道具として持ち込まれた見事な絵が描かれた貝を見ることもできます。「かるた」という言葉はポルトガルから伝わったとされ、ポルトガル語で「手紙(Carta)」や、板状のものを表すのだそうです。日本の貝合わせが欧州からのカードゲームと融合して、現在のような「かるた」になり、江戸時代から正月の遊びとして定着していったといわれます。

八坂神社のご祭神はスサノオノミコトですが、古事記などの神話では日本でクシナダヒメを妻とした時に「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」と歌を詠み、それが日本最古の和歌とされています。かるたは百人一首などの和歌を読みあげて行われるところから、日本かるた院本院の皆様によって昭和46年から、八坂神社でかるた始めが奉納されています。

さて、かるた始めはまず神事から行われます。使用されるかるたを台に並べて拝み、玉ぐしを奉納します。神事が終わると、いよいよ奉納かるたが行われます。まず、舞台の中央で二人が向き合ってかるたを取りあいます。優雅に和歌を読む声とは裏腹に、かるたを取る手はビュっとすばやく、和歌の冒頭が聞こえるとあっという間にかるたが弾き飛ばされていきます。テレビなどでは見ていたものの、やはり目の前で見るとすごさを感じずにはいられません。平安装束のおっとりさと、現実の緊張感のギャップがまた面白くもありました。

息詰まる熱戦の後は、各組に分かれてのかるた取りが行われます。向かって左がかるた姫、右には童子・童女が並び、舞台の鮮やかさも最高潮です。さすがに子どもたちの所作はまだゆっくりで、微笑ましく見ることができました。いっぱいの観客席の中にはこの童子・童女の家族の方もたくさんおられて、一生懸命に写真を撮っておられました。かるた始めは、百人一首で行われますが、皆よく覚えているなと感じます。

こうして各組で最後までかるたが取られると、最後は舞台の上を回りながら、袿や狩衣の艶やかな衣装を見せてくれました。ここでも童子・童女のご家族が、写真を撮ろうと奮闘されていて、童子・童女もそれに応えて笑顔を見せてくれる一幕もありました。

かるた始めはここまでで終わりですが、実はこの後、移動のために境内を列を作って歩いていくため、この場面でも境内には人垣ができます。私も八坂神社の本殿と一緒に写真を撮ってみました。このようにかるた始めは非常に美しい衣装が特徴的な行事です。初詣で賑わう八坂神社ということもあって、人出もたいへん多いです。なかなか間近で見るのは大変ですが、機会がありましたらその優雅さと緊張感を感じてみて下さい。なお、今回も動画がありますので、雰囲気がお伝えできれば幸いです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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