京都の気候変化 10年に一度の平年値更新


今年は10年に一度の気象庁の平年値更新の年です。テレビで「気温は平年並み」と予報士が話すときの平年値です。平年値は過去30年間の平均をもとにして算出し、毎年ではなく10年に一度だけ更新されます。

平年値とは?

今回は、5月18日から運用が始まり、1981年~2010年までの30年間を使用します。5月17日までは、1971年~2000年までの30年間が使われていました。この平年値をもとに「異常気象」も判定されます。ですので、これからの異常気象と、これまでの異常気象はそもそも元となる基準が異なっていることに注意が必要です。
なぜ30年間の平均なのでしょうか。一つは国際的に決まっていて、それは長期的な変動を計るためだと言われています。また、多くの人間にとって直近30年~40年の値が感覚的に「平年値」となるからでしょう。例えば50年や100年間を平均しても、多くの人は昔を経験したことがなく、特に古いデータに影響される最低気温などでは、毎日「平年より高い」ばかりが出てしまうことにもなりかねず、現代人の感覚と異なってしまうからです。あくまで、現在を生きる私たちのための情報ですので、平年値は必然的に30年程度に収まるのだと思います。
また、毎年ではなく10年に一度の更新なのはなぜか。こちらは「計算や変更が非常に大変だから」という理由が大きいでしょう。今年の更新が5月18日からなのも、計算と検証・運用の変更に時間がかかるためです。

京都の気候変化

さて、新平年値の完全公開は5月18日を待たねばなりませんが、一部が公開されています。私が気づいた範疇で京都の気候の変化を解説します。
まず、最高気温が35℃を超える「猛暑日」の日数。なんと京都は、全国の気象台がある都市47か所の中で「1位」です。日数は15.4日もあります。暑いと言われる熊谷でも13.9日。多治見を抱える岐阜で13.1日。南の鹿児島や那覇は海洋性気候のため極端に暑くはならず、鹿児島4.0日・那覇0.1日とかなり少なくなっています。
なお、新旧の平年値を比べると+3.0日となり、厳しい暑さとなる日は確実に増えています。最低気温25℃以上の「熱帯夜」の日数も+4.8日と寝苦しい夜も増え、反対に気温が0℃以下になる「冬日」の日数は-4.5日と、確実に寒い朝は減っています。これは全国的な傾向です。
月別に見ると、8月と9月の平均気温が+0.4~0.5℃も上がっていて他の月より極端です。これは近年残暑が厳しい傾向を示しています。また、桜の開花日も3日早まり、近畿地方の梅雨入りの平年値は1日だけ変わって6月6日となっています。
平年値の変化を見ると、全体的に暑い日が増え寒い日が減っていることが、今回の更新でもはっきりと分かっています。日々暮らしていると気づかないことでも、ゆっくりとそして確実に変化しています。
日本一暑い都市とも言える、京都の夏。正直、真夏のお昼の散策は私もお勧めしません。その代わり、涼しい場所で京都を楽しめる企画も検討中です。真夏の新しい京都の楽しみ方をご提案できればと思います。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

「京都の気候変化 10年に一度の平年値更新」への2件のフィードバック

  1. ミスがあります。「平年値とは?」の初めから二つ目の文に
    「5月17日までは、1871年~2000年までの30年間」とありますが,1871年は1971年の間違いかと思われます。気がつきましたのでご連絡まで。

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