東の空の夕焼けと地球の影

東の空の夕焼けと地球の影
先日、実家の岐阜に帰った際に、東の空の夕焼け地球の影を見ることができました。

夕焼け 9月夕焼けといえば、普通は太陽が沈む方向の西の空を美しく染めるものです。太陽の光には波長の違う様々な色の光が混ざっていますが、目に見える可視光線の範囲では、最も波長が長いのが赤色、最も波長が短いのが紫色(や青色)です。余談ですが、目に見えない光の中で、波長がより長いものが「赤外線」、波長がより短いものが「紫外線」と呼ばれています。太陽の光は、空気の分子にぶつかると波長に応じて散乱して広がり、大気に色が付きます。通常は、波長が短い青系統の光の方がより強く散乱されるため、空が青く見えています。

夕焼けしかし、大気を横切る距離が長くなればなるほど、青系統の光は散乱され尽くされ、最後には赤系統の光が残って夕焼けが起こるのです。地球は丸く、同じ瞬間でも場所が違えば、太陽の光は日の出でもあり、正午でもあります。日本で夕焼け頃の太陽がギラギラと真昼の光で照らしているのは、ちょうど中東の辺り(時差6時間)。そして正反対の南米(時差12時間)では、一日の始まり、夜明けをもたらしています。地球規模で考えると、非常にスケールが大きいですね。

東の空の夕焼けと地球の影実は私たちの頭上を通過した太陽の光は、反対側の東の空もほのかなピンク色に染めています。その色は薄いものの、太陽が沈む点の正反対(対日点)付近が最も赤くなり、周囲に向けてぼんやりと薄くなっていきます。この帯状の「東の夕焼け」は、「ビーナスの帯、ビーナスベルト」とも呼ばれています。実際に見てみると、その呼び名がぴったりと思える、優しい女性的な色合いの夕焼けです。

東の空の夕焼けと地球の影ビーナスの帯の下には、暗い部分が広がっています。これが「地球の影」。地平線の下に太陽が沈むと、その光は東の地平線にまでは届かなくなって、地球の影が見られるのです。地球の影は、すなわち「夜」とも言えますね。当然ですが、太陽から離れた方向へと行けば行くほど太陽は早く沈むため、日没の正反対方向である対日点で地球の影は最も高く、日没方向に向かうに従って少しづつ下がっていきます。その様子を捉えたのが、この写真。写真の右手が日没方向、左手が日没とは正反対の方向。「地球の影」が、日没方向の右手側に向かって下がっているのがわかりますね。

東の空の夕焼けと地球の影太陽が沈む速度は緯度や季節によっても異なりますが、こうした空の色の変化は意外と速く進んで行くので、外に出てじっくりと眺めるとよいでしょう。ただ、写真で見る以上にスケールが大きいため、地平線や水平線が見えるくらいの広い場所が必要です。京都市街地では、東山があるため難しいですが、西山方面や琵琶湖沿いならば見られるのではと思います。また、空気が澄んでいる冬や雨上がりの方が見やすいでしょう。ちょっとロマンチックな「ビーナスの帯」に「地球の影」。初めて見ると感動しますので、機会があれば探してみて下さい。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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