天空の逆さ虹 環天頂アーク


18日の京都の空は、薄雲が広がり、様々な美しい雲や空の景色が見られました。中でも「天空の逆さ虹」、環天頂アークは大空に浮かぶ美しい虹を見せてくれました。

実はつい数日前に美しい空の写真が載っている写真集を見、改めて空をじっくりと眺めたいと思っていたところ、18日の美しい空が巡ってきました。巻層雲など上空高い場所にあって氷の粒で出来ている雲は、太陽の光を分離して時として芸術的な光景を見せてくれます。また高層雲などもう少し低い雲も、冬の強い風に見る見るうちに形を変えて、二度は見れない絵画のように空に様々な模様を形作ってくれました。なお、このページの写真は全て1月18日のものです。

環天頂アークは、太陽よりもさらに上、天高く頭上に浮かび「逆さ虹」とも呼ばれる現象で、天頂を囲う円の一部を虹色に浮かび上がらせます。下から見ればまさに「逆さ虹」。珍しいと言えば珍しいのですが、実は出現頻度は比較的高いものです。ただ、見られる時間帯が限られているのと、空高くに浮かぶため、多くの方は出現していても気が付くことが少ないようです。似ているもので、太陽の下にできる「環水平アーク」もありますが、こちらは太陽の高度が高い春から夏にかけてしか見られません。一方、今回の環天頂アークは条件が整えば年中見ることができます。概ね、日の出・日の入りの1.5~2.5時間前後の時間帯が狙い目。写真のような空の日に、この時間帯で空を見上げてみて下さい。

今回は動画も撮影しました。場所は某お寺でしたが、次回は五重塔や大きな伽藍といった、京都らしい光景とともに撮影できればと思います。また、私の散策ではこのように空の美しい光景が見えたら、お客様にもお伝えして一緒に感動を共有したいと思っています。なお、地震とアークを結び付ける「迷信」もあるようですが、科学的にそのようはことは一切ありません。

この日の夕方には、太陽がもう一つ見える「幻日(げんじつ)」も見られました。太陽高度が低く、西に沈む頃によく目立ちます。実は環天頂アークと幻日はメカニズム的に同じ日に見られることが多い現象です。また、幻日が見える際には、その周りの雲が虹色に輝くことが多い。すなわち「紫雲(しうん)」となるわけです。古人は、西には極楽浄土があると考え、沈む夕日には特別な感情をもっていました(日想観など)。極楽往生を願う浄土宗のお寺・金戒光明寺には、開祖の法然上人が石に腰をかけ念仏を唱えたところ紫雲光明が立ち上ったとされる石もあります。京都の西山には、善峯寺や光明寺など、西山浄土宗の大寺院もあります。もしかするとかつての宗教者たちは、こうして山の上空に浮かぶ幻日や五色の彩雲をもって、人々に仏の教えを説いたのかもしれないなと、このような光景を見ると感じます。

また、夕暮れ時には日本電産の本社ビルがスペースシャトルの発射台のように見えました。このビルは高さ約100mで京都市内では最も高い建物。ちなみに京都タワーは「屋上の工作物」扱いだそうで、建物として法律上最も高いのはこのビルになります。ビルはの外壁はスペースシャトルをイメージしていて近づいてみると「なるほど」と思えるでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

「天空の逆さ虹 環天頂アーク」への2件のフィードバック

  1. 天空の逆さ虹を、はじめて見ました。珍しい現象なのですね。空は色々に素敵な光景をみせてくれている様で、時々は空をじっくりと眺めて自然の美しさを感じることができるといいなと思いました。

    1. 抹茶さん
      コメントありがとうございます。
      美しい現象は繊細で、見えている時間も短いことが多いので、
      気がつかない方がほとんどですね。
      空高く薄雲が出ているときが狙い目ですよ。

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