丹波の観音霊場 穴太寺

穴太寺
先日、京都の西、亀岡市にある西国33カ所観音霊場の21番札所・穴太寺(あなおじ)へと足を延ばしてきました。

穴太寺穴太寺は、705年に大伴古麿(おおとものこまろ)によって創建された古寺で、西国三十三所観音霊場の21番札所です。平安時代に、宇治宮成(うじのみやなり)という人物の妻が、仏師に見事な出来栄えの聖観音菩薩像を彫ってもらいましたが、夫の宮成は礼を渡すのが惜しくなり、仏師に矢を射るという罰当たりなことをしてしまいました。しかし仏師は死んでおらず、代わりに聖観音菩薩像の胸に矢が突き刺さっていたといいます。

穴太寺宮成は自身の行いを悔いて仏門に入り、以後観音像は「身代わり観音」として穴太寺に祀られ、札所の本尊となったと伝わります。観音像は33年に1度の御開帳という秘仏ですが、実は昭和の時代に盗難にあってしまい現在の仏様は摸刻とのこと。これまたなんとも罰当たりなお話です。なお、お寺のご本尊である薬師如来像は、完全秘仏で開帳の記録はないそうです。

穴太寺本堂内ではもうひとつ有名な仏さまがあります。お布団をかぶった釈迦の涅槃像で、諸病厄除けの撫で仏として、布団をめくって自分の体の悪いところと同じ場所に触れて祈願をすることができます。この像は、明治時代に本堂の屋根裏より発見され、当時のご住職と孫娘の病気平癒祈願のために堂内に祀ると快癒したと伝わっています。なんとも珍しい仏様にもぜひご祈願ください。

穴太寺穴太寺のもう一つの魅力が、江戸時代に築かれた池泉観賞式の庭園です。丹波の名庭と呼ばれるお庭は多宝塔を借景とし、縁側に座ってゆっくりと時を過ごすことができます。亀岡の他の庭園では見られない熟練した技が見られるため、京都の庭師によって作庭されたものだと考えられています。様々な見どころがある穴太寺。機会があれば足を延ばしてみてください。

お知らせ

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また、私が監修させていただいた「京ごよみ手帳 2019」は、宮帯出版社様より10月10日に発売予定です。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。

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