グランドオープンした舞鶴引揚記念館


舞鶴引揚記念館 抑留生活体験室

京都府北部の舞鶴市にあるのが舞鶴引揚記念館です。多くの方に訪れていただきたい場所です。

復元された引揚桟橋舞鶴は内陸まで海が入り込んだ港湾で、軍事的に重要な場所とされ、明治以降に軍の施設が多数造られた場所です。現在も海上自衛隊の基地があり、土日祝には護衛艦の見学ができる街としても知られています。太平洋戦争が終結すると、舞鶴は日本海側の引き揚げ港となり、当時のソビエト連邦や旧満州、朝鮮半島などからの復員者が、再び日本の地を踏んだ場所ともなりました。引き揚げ者の数は昭和20年以降、13年間で約66万人にも及び、舞鶴が多くの方にとって新たな人生の第一歩となったのです。

舞鶴引揚記念館舞鶴引揚記念館は、引き揚げやシベリア抑留を後世に継承し、平和の尊さを広く発信する施設として、全国の体験者や関係者、舞鶴市民の支援と協力により昭和63年4月に開館しました。平成27年10月には収蔵資料のうち570点がユネスコの「世界記憶遺産」に登録されて話題にもなりました。そして今年の4月24日、開館30周年記念のグランドオープンとして、シベリア抑留の厳しい生活をイメージできる「抑留生活体験室」と、記憶遺産にも登録された絵画を公開する「企画絵画展示室」が新設されました。

舞鶴引揚記念館 氷海のクロ個人的には訪れるのは2回目でしたが、抑留や引き揚げの事実を、当時の豊富な写真や実物の史料によって実感をもって学ぶことができるよい施設だと思います。舞鶴港で息子を待ち続けた「岸壁の母」や岸壁の妻、引き揚げ者と一緒に渡ってきた犬・クロの話も胸を打ちます。クロは人懐こい性格で抑留者の心の支えになっていましたが、船の決まりで連れて帰ることができず、大陸に残されるはずでした。しかし最後の引き揚げ船が出航すると、なんと流氷に飛び込んで船を追いかけてきたのです。そして船は停まってクロを引き上げ、日本へと渡ってくることができました。クロは舞鶴の民家で飼われ、子を産んで天寿を全うしたそうです。

舞鶴引揚記念館 抑留生活体験室今回新しくできた「抑留生活体験室」では、衛生面や気温の部分では大きな違いはあるとは思いますが、よりリアルに感じることができました。シベリアの極寒の環境は、想像を絶する状況だったことでしょう。冬は多くの人々が亡くなり、埋葬をするために穴を掘るのも凍土に阻まれて大変な重労働となっていたそうです。

舞鶴引揚記念館 絵画の展示そして「企画絵画展示室」では、7月1日まで「MEMORY OF THE WORLD~たどる記憶 たずねる過去~」と題した企画展が行われており、復員された方が描いたマンガなどの絵によって、抑留生活や復員の喜びなどを、ありありと知ることができます。これは多くの方に見ていただきたい展示です。「赤塚不二夫」さんや「ちばてつや」さんなど、有名な漫画家の絵もありました。印象的だったのは、当時子どもだった方々が初めて見た日本が「緑でいっぱいの国」だったということ。戦争という時局の中で、平和に生きる私たちからすると想像を絶する体験を、それぞれの方がされたのであろうことが、絵を通して伝わってきます。舞鶴に行かれる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

舞鶴引揚記念館

舞鶴引揚記念館

舞鶴引揚記念館

舞鶴引揚記念館 抑留生活体験室

舞鶴引揚記念館 抑留生活体験室

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。第14回京都検定1級(合格率2.2%)に最高得点で合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。


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