今年は秋が順調に進んできています。彼岸花も咲きはじめ、萩も比較的早い場所を中心に各地で見頃になってきました。中でも「萩の寺」として知られるのが出町柳にある常林寺です。初秋の時期には境内が紅白の萩に包まれ、風にそよぐ姿から本格的な秋が近いことを思わせてくれます。
常林寺と春のオカメ桜で知られる長徳寺、子どもを背負った子育地蔵が微笑ましい正定院は、かつてこの付近を流れた砂川のそばにあったお寺として「砂川の三軒寺」と呼ばれました。現在は砂も川姿を消し、お寺もしっかりとした土地の上に立っています。萩は荒れた土壌でもよく育つという性質があり、かつては砂地だった常林寺が萩の寺となったのも自然の成り行きかもしれません。
常林寺で個人的なおススメは、門を額縁に見たてた風景。秋らしい風情あふれる一枚を撮ることができるでしょう。また、薄(ススキ)の穂も秋らしい風情を与えてくれます。境内に立つ地蔵堂の中には世継子育地蔵があり、古くより若狭街道(鯖街道)を行き来する人びとが安産・子育てを祈願した由緒を持ちます。萩に包まれたお堂に手を合わせ、秋のひと時をお過ごしください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。