以前、宝筐院や祇王寺の緑をご紹介しましたが、紅葉の名所として名高い嵐山・嵯峨野は、夏の時期も「青もみじ」がたいへん美しいお寺が連なります。常寂光寺もその一つ。紅葉に勝るとも劣らない素晴らしい緑の輝きに出会うことができるお寺です。なお常寂光寺は、小倉山の中腹にあり坂や階段が多いため、不安な方は避けた方が無難でしょう。
常寂光寺は桃山時代に創建された日蓮宗のお寺で、拝観受付を済ませてすぐの仁王門が象徴的です。江戸時代に本圀寺の客殿南門を移したもので、室町時代初めに建てられたと伝わります。趣ある茅葺の屋根が深い山中の寺に来たかのような非日常の光景を味わわせてくれます。仁王像は運慶の作と伝わり、若狭の長源寺から移されたもの。さりげなく素晴らしいものが見られるところも京都らしいですね。
仁王門から真っすぐ坂を上った場所に立つ本堂はこの日は修復中でしたが、伏見城客殿の一部を移転・修造したものと伝わります。さらに階段を上ると優美な多宝塔が現れ、エメラルドグリーンに輝く青もみじとの取り合わせがたいへん見事です。塔は、桃山時代の建築で国の重要文化財にも指定されています。
この辺りからは眺めもよくなり、東の風景を一望することができます。階段を上るのは大変ですが、こうしたご褒美も待っていますので頑張ってみてください。遠くには比叡山や東山が望め、手前にはラクダのこぶのように双ヶ丘が見えています。さて、常寂光寺境内の美しい様子は写真でお楽しみください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。